どさんこ九州に住む

北海道民が九州に移住。日々感じるカルチャーショックを4コマにしました

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4コマ「F県 鞍手駅~中間駅を歩いてみた」(3/4)~想像してご覧

※1,3コマ目の黒いのは樹木のシルエット。

 

映画館から出た瞬間とか、人工物の無い山から街へ降りてきた瞬間とか、旅が終わった瞬間とか、いきなり現実が目の前に現れて面食らうことありません?

 

別に工業団地にケチつけてるわけではないんですよ。

古墳→工業団地を通ったらそう感じたってだけです。
工業団地→古墳の順でしたら「最先端な場所の隣に古墳!?」となったと思います。

人間の脳って面白いです。

 

F県は古墳数全国7位。
1万759個の古墳があるそうです。
8位の奈良県9663基より千基ほど多いです。

日本全国には15万9953基もの古墳があるそうですね(R3年)。
今年の1月時点での日本のコンビニ数は約5万7000店舗だそうですので、古墳の方が多いです。
因みに1位は兵庫で1万8707基あるそうです。兵庫のコンビニは2013店舗(R5年)、F県は2300店舗だそうですので、両県とも古墳の圧倒的勝利です。

 

横穴墓は、古墳に分類される墓のうち、墳丘が見られないものを指すようです。
古月横穴は、丘の斜面に横穴を掘って作られていますが、墳丘のあるものが41基中、2基あります。
墳丘とは、人が土などを盛り上げてつくったものです。

 

∞∞

古月横穴が作られたのは6世紀後半から7世紀後半。
日本史の教科書で言えば、聖徳太子がでてくるあの頃です。

地元の豪族の一族の墓ではないかとみられているようです。

大きな物で玄室(ご遺体を安置する場所)まで10m掘られているようなので、力ある一族で無いと作れないでしょうね。岩盤固いらしいし。

 

現在発見されている41基のうち、模様が刻まれているもの、赤い顔料で描かれているものが3基あるそうです。
この装飾がある墓(装飾古墳)ですが、横穴では珍しいそうです。

 

ウィキペディアによると装飾古墳は全国に約600基。そのうち半数以上にあたる約340基が九州にあるとなっています。
ただし、熊本県のホームページには「全国に約700基、熊本県内では約200基」となっています。

文化庁のページでは「約600基全体として、北九州と北関東・南東北に集中し、とくに熊本、福岡両県での分布が著し」となっています。

 

結構数が違いますね。
調査発掘認定の時差とか、古墳の数え方が違うとかあるのかな?
「古墳群」をまとめて1と数えるか、個別に数えるかなど。分かりませんけど。

まあ、いずれにせよ「装飾古墳は九州に多い」と言うのは間違いないようです。

模様を刻む装飾古墳と絵画を描く壁画古墳を分けているところもあれば、装飾古墳の一部を壁画古墳としているところもあるし、まだまだ曖昧な部分が多いのかもしれません。

 

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この古月横穴ですが、大正15年に土地の所有者が発見。
旧制中学校の校長先生たちと発掘調査。

その後、F県の横穴墓の中で一番最初に国指定になりました。

土に埋もれた古代の存在に気がつくってすごいですね。
さらに、知らんぷりして経済活動を優先するのではなく、調査保全に努める心意気、頭が下がります。当時の教師陣もすごいですね。研究調査するだけの知識技能があったってことですよね。

 

そういう方々のお陰で、過去から連綿と続いている歴史の輪が見えてくるのでしょう。

 

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鞍手駅から平地をテクテク歩いて古月横穴まで行きました。

横穴は丘の斜面にありましたが、それほど高い丘ではなかったんですよ。

しかし、生きてる人の暮らしと死者の世界を分ける社会の仕組みだとすると、随分行きやすい場所に作っていたんだなと思いました。

ところが、当時の地形図を見ると(横穴の解説のところにあった)、どうやら、6,7世紀のこの辺りは海だったようです。

この図で考えると、横穴はたくさんある入り江の一つって感じですね。

そうすると、ここは船でしか行けない場所だったのかもしれません。

人が亡くなると、船に乗せ、水辺の向こうの安息の地、彼岸へ旅立たせる……。

 

合ってる間違っているはわかりませんよ。
想像するのが楽しいんです。

 

見たことのない当時の様子を想像してひと時を過ごす。
そんな楽しみ方ができる場所でした。