甕棺の完成度を見ると、専門の職人がいたんじゃないかと感じます。
素人が、「今日は、雨で外の作業できんけん。中で甕棺でも作ったい(方言は想像です)」って作れるレベルとは思えない。
甕棺は時代だけでは無く、地域によっても特色があります。ですが、ある地域の甕棺が別の地域で発見されたこともあるそうです。そこから、「商品として」輸出された・・・つまり商品を作る「職業集団」がいたんじゃないか。という見解があります。(参考資料:国立民俗博物館「九州の甕棺」)
が、なんということでしょう。その甕棺のプロ集団が作業していた痕跡、甕棺工房が見つかってないということなのです!
前回の話で述べたように、焼き物を作るというのは時間がかかります。「来週納品ね!」って言われたって無理無理。
焼き物の特性上、作ったら100%完成するとは思えない。神の手を持っているカリスマ甕監師がいたらわからないけど。いや、無理でしょ。この頃、まだ釜が無くて野焼きだって話だし(弥生式土器は、藁と泥で蒸し焼きにしていたらしい)、焼きムラあるよね?
と、いうことは、当然失敗した甕棺や、途中で上手くいかなくて作るのを放棄した甕棺があるはず。なのに、令和6年3月現在、それが見つかっていない!
墓の甕棺は見つかっているのに、甕棺の墓が見つかってない!
甕棺時代200年もあるのに!
これだけ大量の甕棺が発見されているのに!
なに、そのミステリーな話!
「甕棺は、お墓の中からしか見つかっていない」
この名言を聞いたとき、衝撃のあまり鼻血吹き出しそうになりました。
もう、一気に甕棺に捕らわれました。
甕棺って、謎すぎない!?
ミステリアスKA・ME・KA・NNN!!!!!
甕棺は弥生時代を閉じ込めたタイムカプセルと言われるようですが、情報だけでは無く、甕棺そのものの謎も一緒に埋まっているのですね。
さてさて、甕棺工房、今後発掘されるのでしょうか?
それとも・・・?
いつか、甕棺の謎が解けますように!
※4コマで話をおさめるため、その場で説明を聞いているように演出していますが、実際はその場で聞いていません。(R6.3.21 10:50)
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今回、吉野ヶ里遺跡の研究員さんにお話を聞くチャンスに恵まれ、甕棺についていろいろ知ることができました。感謝です。
尊敬するのが、知識量もさることながら、「科学的な証拠」があるか無いかをしっかりわけていらっしゃるところ。
自分だったら、もっともらしく辻褄があいそうな持論を意気揚々と述べてしまいそうです。
宇宙の仕組みを解き明かそうとする物理学者に必要なのは「妄想」だそうです。妄想力があって数学ができる人が物理学者(理論物理学というやつ?)になれるそうです。
一方、考古学者はコツコツと事実を積み上げていく力が必要だそうです。
イメージ的には、考古学者の方が夢想家な気がしますが、逆なのかも?