どさんこ九州に住む

北海道民が九州に移住。日々感じるカルチャーショックを4コマにしました

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4コマ「津軽海峡があるから渡れない。どっちに?」

今回はいつもと違って説明文

 

目次

 

Ⅰ.日本列島生まれた順番

日本列島はユーラシア大陸の一部から分離してできました。

分離までの大雑把な順番は次のようになります。

  1. 更新世前期(約258万年~78万1000年前)に沖縄を中心とする南西諸島が分離して島になる。(固有種アマミノクロウサギイリオモテヤマネコなど)
  2. 更新世後期(約12万6000年~1万2000年前)に本土(津軽海峡以南)が大陸より分離して島になる。(固有種ニホンザルやヤマドリなど)
  3. 完新世(約1万2000年以降)に北海道が大陸と離れる。

(参考文献光村図書5年国語「固有種が教えてくれること」)

 

Ⅱ.他の島国と固有種数の比較

生物の往来ができなくなると、古い種が新しい種に滅ぼされることなく生き延びたり、独自に進化していきます。それが固有種(特定の国や地域にしか生息・生育・繁殖しない生物学上の種)です。

したがって、海で隔離された大陸や島は、「面積の割に固有種が多い」場合があります。

 

日本と緯度や面積などが似たような島国のイギリスやニュージーランドと、固有種数(植物、魚類、鳥類、哺乳類)を比較してみましょう。

イギリス…161種
ニュージーランド…1823種
日本…2277種

 

この固有種数の差はどこからくるのでしょう。
国別の成り立ちにそのヒントがありそうです。

 

ニュージーランド

  • 古い時代(8500万年前頃らしい)に南極大陸から分離。その後、大陸と近づくことがない。→陸移動をする生物が新たに移入することが困難。(哺乳類の固有種3種)
  • 海による分断が関係ない鳥が移入。独自の進化をした為、鳥類の固有種(キウイなど56種)が多い。

イギリス

  • 氷河期に全土が氷雪に覆われたため、そもそもの生物数が少なかった。
  • 最終氷期(約7万~1万年前)が終わった後、ユーラシア大陸から分離。
  • 分離後も、大陸と距離が近く生物の移動が容易であった。
  • その為、固有種が少ない。哺乳類、魚類の固有種は0種。鳥類が1種。植物が160種。

日本

  • 氷河期に全土が覆われること無かった。
  • 海水面の上下により、大陸とくっついたり離れたりを繰り返したので、生物の移動が促進された。
  • 分離後は、大陸との距離がそれなりにあったため、生物の移入が難しくなった。
  • 標高差や離島など、変化に富んでいる国土のため多種多様の固有種が生き延びる場があった。

それらの偶然によって、日本はそもそもの生物数が多く(現在確認されている数は約9万種。地球上の種の5%)、固有種も他の2国に比べて多いのです。

(参考ホームページ 農林水産省「三つの島国を生き物の数で比較をすると」他)

 

大陸と陸続きかどうかによって生き物の往来が変わります。
2万年前頃にできたとされる(参考ブリタニカ)津軽海峡以北と以南で動物相が違うのも、そういうわけです。
津軽海峡以南が島となった時期、北海道はまだ大陸の一部でした。

津軽海峡があるから、北海道の生き物は本州へ渡れなかったし、本州の生き物は北海道に渡れなかったのです。

Ⅲ.日本の固有種

日本の固有種ですが、脊椎動物だけでも意外なほどたくさんいます。

哺乳類50種(うち2種は絶滅した?)
鳥類16種+繁殖固有種6種
は虫類60種
両生類63種
魚類138種(亜種含む)

他に、昆虫や植物、菌類などの固有種も日本には数多くいます。

(参考ホームページ 国立科学博物館「日本の固有種の目録」)

 

哺乳類だけに着目したのが最初のマンガの3コマ目になります。わかりにくかったと思うので補足説明を…

日本の陸棲哺乳類が50種(現在は48種?)中、北海道のみに生息している種は0種。

北海道にも生息している種(ヒメネズミ等)は4種。
※現在は移入して6種(ニホンイタチ等)。

本州四国九州の全部、またはいずれかに生息している種は31種(ニホンザルなど)。
19種が北海道本州四国九州ではない島(南西諸島、佐渡島小笠原諸島対馬など)のいずれかに生息しているそうです。

 

本州四国九州も固有種が多いことがわかりますね。

と、いうわけで、身近にいる生き物が、意外とそうかもしれません。
例えば、は虫類ならアオダイショウも固有種だそうです。

 

Ⅳ.では、北海道にいる哺乳類は? 

エゾ〇〇と、「エゾ」がついているので、北海道にしか生息していない種のように感じるものが多いです。

しかし、例えば北海道にいるエゾヒグマですが、これはユーラシア大陸北アメリカ大陸に生息するヒグマの亜種となります。

キタキツネは、北半球に広く生息するアカギツネの亜種(津軽海峡以南にいるホンドギツネも同じくアカギツネの亜種)。

ナキウサギもアジア、東ヨーロッパ、北アメリカに生息しています。

 

地球規模で見ると、北海道固有の種ではありませんが、津軽海峡以南でそれらの動物をみることはできません。

したがって、北海道は日本のなかで他と違った生き物がいるといえるでしょう。

何より、北海道の魅力は、それらの野生生物と出会う可能性が高いということでしょう。
ねこさんは市街地に住んでいましたが、キタキツネはうろうろしていましたし、エゾシカも(主に早朝)野良猫のごとく闊歩していました。野生の鹿が近所の学校の芝生を食べているとか、普通。

 

生き物に感動する、愛しく思うという気持は、固有種であろうと無かろうと関係ないかもしれません。

 

Ⅴ.まとめ

どこから見るかによって、珍しいと思う対象が変わりますね。

当たり前と思っていることも、実はすごく特別なことなのかもしれませんよ。